映画と僕。

暇さえあれば映画ばかり観ているノーフューチャーな中年男性による簡易レビューです。好みが偏っているので、できるだけ色々な作品のレビューを書こうと思っていますが、中々難しいかもしれません。

★★★★★★★☆☆☆ 夢 (1990/日本・アメリカ)

<夢 概要>

同作は8つの物語から構成されており、それぞれに夢と現実、生と死、自然と人間の関係など、深いテーマを探求。個々に独特の映像美や物語性、そして日本の伝統や文化を反映したものをオムニバスにして一本にまとめ、世界的に注目された作品。興業面では、映画監督であるスティーブン・スピルバーグ氏の協力を元に、初となる世界配給を実現させた一作である。抽象的な表現が多く、往年のクロサワファンの中には毛色の違う作品として一線を引いている方も少なくない。

 

ーーーー

 

という訳で、次に持ってきたのは世界のクロサワであり、氏が残した数々の名作の中でも、最も賛否が分かれる「夢」をチョイスしてみました。

 

私にとってのクロサワ映画は、明確なストーリーこそあれど、色をも想像させる深さを纏った不思議な魅力を持つ白黒映画という印象。その印象において同作が映し出す絵は軒並み現代であり、カラーである。

 

正直に言うと、最初に観た時は全く意味がわかりませんでした。

何せ初見は私が中学2年生の頃。まあ映像がキレイだなぁくらいの感想しかなかったと思います。

 

無論、大人になってからは何度も鑑賞したのですが、作品の意図みたいなものはいつまで経ってもぼやけたままです。モチーフは夏目漱石の「夢十夜」であると思われ、話の切れ目に登場する「こんな夢を見た」というフレーズは、氏へのオマージュなのだろうと想像する。

 

8編の作品はどれもメッセージ性が強く、冒頭で紹介したように、生と死や人間に対する警告などが表現されており、特に6話の「赤富士」は利便性と権威の象徴である核に対する皮肉に満ちた内容であり、環境汚染に無頓着な現代人はいずれそうなるという強烈な警告になっている。

 

まあ夢というにはやや話が長いような気もするが、とにかく映像美とシュールな展開に引き込まれ、毎度の如くあっという間に終わってしまうという。

 

話によっては特殊効果を使っているみたいなのですが、例えばカラスの大群を実際に使っていたり、エキストラを1300人も出していたりと、スケールの大きさは半端ないです。それもわざとらしくなく、自然な感じになっているので、観終えた後に思い返してため息が出るというね。

 

それと、それに付随してロケ地の美しさたるや、もう本当に感嘆するレベルです。結構有名だと思うのですが、5話の「鴉」に出てくる大空町の「メルヘンの丘」は日本とは思えないくらい幻想的な風景で、死ぬまでに一度は行ってみたいと思ったものです。とにかくクロサワ映画の醍醐味は自然の景観だと思っている私は、きっと映画の見方を間違えているのでしょう。

 

一人で物思いに耽りたい夜にピッタリの一本だと思うのですがどうでしょうか?

 

そんな同作品の気になるおすすめ度は・・・

 

★★★★★★★☆☆☆

 

7つということで。

ABEMAの公式サイトはこちらから